 賑やかに鈴なりになって たわわに連なっている紅い実 麗らかな陽の吹き溜まりに 最期の生命を謳歌している それも束の間 飛び交う野鳥たちに啄まれ 次々に姿を消していく 葉に埋もれた実だけが ひっそりと冬を越していく 冷たく寂しく 身を切るような北風の音 氷雨は容赦なく 葉の間に染み込んでくる 吹雪は葉や枝に氷の粒を植付ける いつしか景色を辺り一面の銀世界へと変えていく 凍える冬の旅路が始まる その大気の厳しさに 打たれ叩かれ 磨かれる樹々の幹や枝 風雪にさらされながら 力強く そして研ぎ澄まされた感覚を得て 真の逞しさを身に付けていく そうして季節を乗り越えた者だけに 春の陽射しが微笑みかけてくれる 雪解けの心弾む音を聴くために 日に日に暖気を増していく陽射しを浴びるために 今から訪れる これから始まろうとする 季節の旅路 冬の旅を乗り越えていこう
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