  寒い大気の中 落葉樹達の生命の燃える極点 でも紅葉は燃える姿じゃなく葉脈が衰えて 葉緑素が失くなって変色したもの 鮮やかに黄葉する銀杏の葉も 褐色に色変わりして風に鳴る葉達も 皆決して熱くない 燃えてなんかいない それは葉達が末期に放つ 荘厳な旅化粧 落日の姿なのだ 燃え立つように見せて 華やかに彩る衣装を纏い 朱や紅黄に金色の万華鏡の世界へと人々を誘う 落葉樹たちの生命の祭りは やがて来る白一色の世界への旅立ちの前の儀式 そして再び春が来て 新たに出会う豊穣な世界 その時空に 身も心も潤し満たされる その時を迎えるまで 冬の木枯らしの中でも 横殴りの吹雪の中でも 裸の体になっても 喘ぐこともなく凜として立ち続ける 落葉樹たちの枝先は 遠く高い空を指し 確かな未来を指し示している 本当は決して燃えてなんかいないのに 燃え尽きる有終の美を天空いっぱいに放って 別れを告げている
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