
薄紅から深紅へと
勢いを増していた薔薇の花びら
それがいつしか芯に澱を溜め 暗く色を変えた
愛し過ぎたせい それとも求め過ぎたせい?
溢れる期待 愛される歓びに我を忘れた
胸が締め付けられ 苦しくなったのは
思い通りにならなくなったから…
相手の気持が解らなくなったから…
もがいて 虚空に手を伸ばして
すっかり囚われの独り相撲となって…
愛は与えるものじゃなく
ただ貪り もぎ取るものとなっていた
気付かぬうちに いつしか
自己愛の罠にかかり
澱みの中へと落ちていく
その刹那 目が捕えたのは
深い紅色の薔薇の花びらが
削げ落ちるように ハラハラと散りゆく様
追い求めるばかりの
勝手な自己愛だったのに
これが『真実の愛』と思い込んだ時から
苦悩が始まった 憂い惑いの迷宮の彷徨が始まった
朽ちてしまった想い
散ってしまった愛の残滓に
あの日の熱情 燃え尽きて帰る事のない炎を
忘れる事が出来ずに
落ちた深紅の花びらに心を寄せる
この時 悲しむ場面に 何を学ぶか?
ただ未練心を抱えて日々泣き暮らすのか?
それとも涙しながらも悔恨して
自分を見詰め直すのか?
自分を見詰め振り返る人は
きっと『明日の自分』を創っていくだろう
奪い取り貪り尽くすだけじゃない
『真に愛する自分』を創るだろう
向き合う愛情対象の選びも考えるだろう
だが 打ちひしがれて
寂寥の大河に身を投じて流され行く人は
二度と咲く事のない花びら
『愛の残滓』をただ漁るのみ…
全て運の流れは因果律で動くもの
自らの心の因をどう創るかによって その結果が変わる
そして絶望の情況は 本当は新たな希望を創る時…
『愛の残滓』復刻改稿
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