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鑑定歴40年 面接鑑定専門 本格占い 癒しの隠れ家 四柱推命・断易・気学・風水・手相・他
■■■愛が人を生かし、殺す
2006/03/28 Tue未分類
 愛情破綻は、人生最大の苦悩

 古い話だが、青年実業家が、多額の負債を抱えて事業倒産の情況となった。原因も理解して、潔く身の始末を整える覚悟をして、今後の展望などの相談となったのである。恋人か、或いは愛人らしき女性を連れ立っている。

 「今から三年の後、後援者にも恵まれ起死回生の運となるので、絶対に諦めないように」

 そう告げると深く頭を下げ、隣の女性の手を強く握り締め、「有難うございます。精進して、必ず返り咲きます。この人も付いててくれるので頑張ります」胸を張り、輝く眼差しで、そう答えたのである。かなりの情況ながら、この人の表情に曇りが無い。むしろ、晴れやかに新たな決意を感じさせる風情であった。

 女性は、会社の秘書として雇い入れ、ほどなくして愛し合うことになり、不倫関係となったものである。だが近々に離婚して、妻に迎える約束をしているという。そんなさなかの事業破綻で、女性も複雑な胸中である。

 三年が経過して、又この男性が一人でやって来る。さて、結果がどう出たのか? その表情からは、思ったほどの成果がなく、行き詰ったような印象を受けたのである。

 「おっしゃる通りに、事業は再建出来ました。有力な後援者の助けで、債務を肩代わりして貰い、別の資本投下にもあずかり、三年と言わず、たった二年で乗り越えました」

 倒産後に、すぐにも世情はバブル景気を迎え、時代に助けられた形となったようである。しかし、それにしても、表情は暗く沈み込んで、今にも消え入りそうな佇まいなのである。

 「実は、事業再建も叶い、財政不安も無くなって、離婚手続きも無事済んで、いよいよ、彼女を迎える段取りになったんですが、当の彼女から別れ話を突きつけられたんです」

 眼は落ち窪み、頬も削げ、皮膚もぼろぼろになっているのである。苦難を一緒に闘ってくれた彼女だと言う。幾度も勇気付けてくれ、寝食を忘れて尽くしてくれたそうである。

 燃え尽きてしまったものか? 
 やっと手に入れることが叶う妻の座を、その瞬間に放り出してしまう彼女の心情がまるで理解できないと悲嘆に暮れているのである。

 「もう何も希望がありません。一体何のために頑張ってきたのか・・・」

 どう占断しても相手の決意は固く、復縁の可能性は皆無であった。愛人という立場だからこそ、愛せたという、屈折型の愛情パターンであったようである。さらに、落ちた人間を勇気付けるための献身愛の人だったのだろう。事が終わって平穏な日常では、満足しない質(たち)の人間なのだろう。

 良い事と悪い事が同時に重なった瞬間である。
 その後、どうなったか?

 一年経って、やって来た時には、もはや事業経営からは手を引き、ただの勤め人になっていたのである。すっかり精彩も無く、十歳は老けた印象となっている。離婚した前妻と復縁したそうで、子供もあったので一家は丸く収まったと言う。何度も自殺を試みたが死に切れなかったとポツリと告げるのである。

 愛が人を生かした。されど、愛が人を殺してしまう例である。人は愛を食べて生きる動物。愛が起こす悲喜劇である。
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鎌田康秀

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    吉祥寺で生まれる。幼少の頃、神戸で過ごす。
    学生時代は演劇青年(不条理系の芝居}。今でも芝居好きで、観劇が趣味{ジャンルは問わず)。占術家以外では一時期、クラフトデザインの仕事に就いた事がある。少し絵心もあり。犬、猫、ウサギが大好き。でも一番好きなのが、やはり人間。思いを共有できた瞬間が最高。語り合う中で未来ビジョンが出来た時が最高。

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