南北相法・水野南北居士著(康秀編)
人中について(人中は鼻の真下、口までの間に入る縦の溝)
人中によって気力の強弱、命の長短、又子孫の有無などを推理する。
人中が短い人。根気が無く又、心が浅い。涙もろくて感情に支配されやすく、些細な事にも一喜一憂しがちである。人との関係を長く保つのが苦手である。人中が短いという事は鼻の下が短く口との距離が狭まっているため気力を貯める範囲が狭い。そのため気が保てず胆力に欠ける事になるのである。
人中に締りのある人。くっきりした溝を描くのは、心にも締りがあり、相応の発達をすると共に福運に恵まれる。
人中に締りが無く溝がはっきりせず平板に見える人。心に締りが無く行動も散漫でとりとめが無い。そのため運も向いて来ず大業を成しえない。
男性で人中に髭の多くある人。早くに自分の分を知り、望み事を達成させる事となる。ただし物事に気の付かない所が多い。心は豊かであり衆望を得る。人中の左右を食禄と言う。人中の髭が多いのは、その食禄が満たされているように見えるので、早くに足ることを知るの道理が考えられる。貧しい者であっても足ることを知れば心の福者と言える。この相は貧者、富者にもある。
人中に髭の少ない男性は、自分の分を知る事がないため、目的が定まらず望み事も十分に叶う事がない。ただし、才には恵まれ物事によく気が付く人で重宝がられる。口髭の真ん中に髭が無いのを、奸者と言われ謀り事をする人間と古書にあるが実態は不明である。確かめてみると良い。
人中が長くて、上唇が歯と等しく並ぶ人は、大変良好な運気を持ち、誰からも尊敬され、人の長となる事が多い。おのずと人から用いられる運命である。もし貧しい暮らしをしていたとしても後援者があったり、他者の助けを得る福運がある。基本的には、物を自由にしたり家を思うがまま支配する事の叶う権力を有する人である。歯は金に属し唇は水に属す。ゆえに歯と唇とが等しく揃うときは、これを「口の相性」という。つまり金生水となって大吉相となるのである。
なお、歯と口は言語の門であるから、大吉であるのは、能弁の人である。又、口は大海であり人中は溝、すなわち水の道である。したがって、人中長く歯と等しく並ぶのは、大海への水の道が通りが良いという事であり、物事が万事順調に進み滞ることがないというのである。
人中に横筋のある人。子供の縁が薄い。たとえ子があっても頼りにならず、大勢ある場合には老いてからかえって苦労する事になる。人中は気血の通路であるから、子孫を司る。ゆえに人中に横筋があれば、その筋が子孫を破っていると判断し、子縁が薄い事になる。
女性の場合、人中を膣や産道とも観る。人中が短いのは膣も短いと判断する。幅広きは同じく広いと観る。長短、幅の狭広などで判断するのである。色情相法である。
スポンサーサイト