

銀杏 楓 欅…
紅葉した樹々に彩られた公園を並んで歩く二人の背中を
柔らかな陽射しが降り注いでいる
肩に降り懸かった落葉を そっと摘んでくれた人
顔を見合わせ笑みを交わしても
すでに もう愛想笑いにしかならない
いつしか言葉も途絶えて 乾いた時間だけが過ぎていく
胸の中に凍り付いたものが ついに溶けることはなかった
穏やかな温もり 小春日和の公園を歩いていても
感情のすれ違いが起こした 数々の諍いの傷跡が
いつまでも癒えることはなく
互いの瞳の中から 慈しみの色は消えていた
足元でカサカサと枯れ葉が乾いた音で鳴り
冷気を含んだ風が ヒューッと耳元を掠めていく
思い起こせば 繋いでいた手が
すっかり温もりを失っているのに気付き
もう 互いに向き合う相手が違うんだと感じてしまった
あの日から 情の通った思い 求め合う気持は
枯れ始め 風化していった
枯れ葉の舞う道を歩きながら
公園の出口から別々の方向に向かい踵を返し
二人の影は 次第に離れていく
小さく手を振り合って…
でも決して顔を見合わせる事もなく去っていく…
清々しく 何処までも澄み渡った空と
舞い落ちる落葉の数だけが
二人の後ろ姿を見送っている
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