
遠くから見ているだけでよかった
柱の陰から そっと見詰めているだけで胸が熱くなり ときめいていた
いつの間にか 近付きたくなってそして 振り向いて欲しいと願った
憧れが 恋に変わった 激しい恋情に変わっていった
あの日を覚えているだろうか・・・ 胸を焦がしはじめた頃
あの人に近付き 笑い合ったり 和み合う人たちに激しく嫉妬した
まとわりつく子猫や子犬にすら・・・
自分の想いを次第に制御できなくなって惑いの迷宮に落ちていった
苦しく もどかしく 想念はグルグル回り
あの日から 周りの色彩は変わり
通り過ぎる人 擦れ違う人たちに あの人の幻を追いかけた
昼となく 夜となく 夢の中でも 募る想いを膨らませていった
遠くから見詰めているだけでよかった
あの頃に戻りたい そう願っても もう叶わない
恋情に絡め取られた心は もはや暴走するばかり・・・
ストップの標識も次々になぎ倒していく
密かに頬を染める 淡い憧れだけの 想いの麗しさに心惹かれるのなら
胸の内に咲いた白や薄紅の薔薇は そのままに
決して 深紅に染めないで欲しい・・・
恋情はふいにやって来る。制御不能の加速をして。
白から薄紅へ、そして深紅へと色を染めていく。
生命の鼓動、愛の熱情が人を生かし殺し、様々な人生模様を創っていく。
停める事など出来ない。たとえ叶わずに花びらが散ったとしても、
落ちてなお紅い花びらの色が心に焼き付く。
それが恋。それが人生。