

どんよりと空一面を覆い尽くす暗い雲
今にも雨が落ちてきそうな大気
霧が立ち込め 靄に包まれ
吹き荒ぶ風に打たれ 降りだした雨に打たれて
そんな時空が真底心を癒やしてくれる
いつまでも 何処までも一人ぼっちだから…
なのに季節は果てしない陽気を放つ春爛漫
眩しい陽の光が無ければ もっと気持ちが和むのに
そよぐ風 燦々と降り注ぐ陽の中
街に出てみれば楽しそうに通りを走り抜けていく人達
手に手を取り合って 片寄せ合って
光の中で見詰め合い微笑み合い
青春に乱舞する恋人達
遠く近くに甲高く囃し立てる子供たちの声がして
仲間で連れ立って雑踏を行く一行もある
老いも若きも 笑い語り群れ戯れて
賑わいの春秋(人生)を謳歌している
でも本音は皆 腹を割ってなんかいない
誰しもが他者を信じることなど決してない筈
でも疑心暗鬼の心象を悟られまいとして
満面の笑みを湛えて 和睦と親交の証しに汲々としている
みんなみんな 嘘くさい人の輪に取り込まれて
究極は果てしない自己喪失と疎外情況に陥って行くのも知らず
実なんかない虚構世界の住人に堕ちていくのだ!
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
いつの間にかすべての幸せ概念に対して
懐疑的で皮肉な解釈をはじめている
本当は耐えられないほどの孤独なのに… …
精一杯の屁理屈が尚一層の寂寥を醸している
“そんな所でいつまでもいじけて ひねくれてないで
陽溜まりの中に 人の輪に飛び込んでみたらいいのに"
空の小鳥達が 道端の花達が 一斉に葉をつけた木々達が
囁きかけているのに…