  季節の移ろい 梅の華鮮やかに 頬うつ風はまだ冷たいけれど 華やかに春模様 そんな雅びな季(とき)に旅立ってしまった あの空の遠くへ 月に帰って行ってしまった… 移り季節さえ忘れて暮らす日常の中で 目を閉じて 耳を済ませば 『獅子脅し』のタン!という音と供に 鄙びた庭園の 目の前に広がってくる 梅の香 梅の華 玉砂利を踏み締める音… 池の面が降り注ぐ光の帯を反射して輝いている そんな情景がふっと浮かんでは消えて… そして 私を家族を呼ぶあの音… まだ余寒を残した風が吹いて めくるめく時空を行き来して渦を巻く あの空は… あの世もこの世も分けへだてなく 繋がっているのかもしれない 木から木へ さえずりながら飛び交う 小鳥達の声を聞きながら 心も身体も 梅の香に 梅の華に包まれていく… タン!タン!タン!… 啼かないウサギのただ一つの声 踏み鳴らす 訴えかけの「あの音」がして…… 『サヨウナラ』 そして『ありがとう』 いつまでも心に息づき 活き続ける 可愛い子 いつまでも いつまでも… 愛兎 『Peenya』春の空 満月に旅立つ (九歳の春)二月二十日の夕べに……
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