

目覚めたとき
頬を伝う涙に気付いた
夢の映像を回想する
夢の中に現れた 一面の黄色い花畑
両手を父母に取られ 跳ねるように歩いていた
あの時は ただ
柔らかな陽射しに照らされ
蒸れかえる花の香りに酔い
父母の溢れる愛に包まれていた
既に 遠い世界に旅立った父母は
空の向こうで 何を見ているのだろう・・・
ありがとうの言葉さえ 告げることも出来ずに
ふいに旅立たれた時には
慟哭と寂寥の淵に佇んでいた
空は 厚い暗雲に覆われ
深い心の闇に閉じ込められていた
心も晴れて
今はもう 空を見上げることが出来る
両手いっぱいに 花を抱き締めて
『ありがとう』の言葉を
大空に向かって 叫ぶことも出来る
道端に咲く黄色い花が
風に吹かれて 微かに揺れている
温かなものが 電流のように身体中に流れて
花畑とともに 父母の笑顔が甦ってくる
触れる事が出来ない 言葉を交わす事が出来ない
あるのはただ、思い出の世界だけ・・・
でも旅立った者との邂逅は ふとした瞬間に訪れる
心の中で、深い胸の内で・・・
いつも見守ってくれている
いつだって身近にいて 心配したり助けたり導いてくれる
その事を知っておこう