セックスレス5年・離婚を考える妻からの相談
卦は両官両財(二つの官鬼・二つの妻財)を得て、夫婦関係では、それぞれに相手を変える形であり、再婚の象となる。互いに別の配偶者を求める事となる。
世爻を自分(依頼人)とし、官鬼を夫と定める。
卦中、寅の官鬼が、両現(二つ登場)しているが、世爻に臨み動いている二爻の官鬼を用神と取る。
「夫の星が自分の場所について居るので、一心同体という事になるのですが、ご主人は貴女にベッタリで、まさか別離を望んでいるようには思えないんですが・・・」
「そうなんです。いつもくっついて離れないんです。それで困っているんです」
世爻に臨む官鬼の情勢はというと、玄武が付し休囚(衰弱)で動き午父母を化出している。この父母爻は伏していたものが出てきたものである。寅官鬼は動いても日の申から沖剋されにっちもさっちもいかない混沌状態である。
父母爻は子孫爻を剋す。子孫は悦楽の星神であり、それが倒れてしまうので、性的な喜びを求める気持ちも萎えており、悶々と思い悩み心を閉ざしていくのである。
又、父母爻を化出するので、親との関係がベッタリの人間と思えるのである。
「ご主人には親つき息子の形があるのですが、何でもかんでも親に相談する人なんですかね?」と問う。
はい、そういう人間です」
「そこで、ついて居るのは、母親ですよね?」
伏しているのが午父母、化出爻も午父母、陽爻変じて陰爻となる所から陰を女とするので母親であろうと答えたのである。セックスレスの原因については、おそらくこの母親との関係に大きな問題があるように察せられるのである。
「母親の事で、何か大きな悩みでもあるんでしょうね」
悩みの星・玄武もあり、鬱気味の心理状態とも思われるのである。
「母が元気だった頃には、夫婦関係もとても良く、セックスもうまくいってたし、お互い満足してたんです。でも、あれから五年。まるでダメになってしまって・・・」
「お母さんに何かあったんですか?」
「病気で倒れて、、あっという間に亡くなってしまったんです」
「・・・そうなんですか。ひょっとしたら一緒に暮らしていると思ったんですですけどね?」
二爻に官鬼が居り父母爻化出して、二爻は宅爻でもあり、家に同居している象なのである。
「ええ、一緒に居る筈です。死んでからすぐにやって来て、うちに住んでると思います。四六時中気配を感じてますから・・・」
宅爻の官鬼は家宅の霊障でもあるが、こんな出方をする事もあるのである。
四爻に戌兄弟が動いて酉子孫を化出している。破財破官が両動すると見て、もはや夫婦関係が修復不能を語っていると理解するほかは無い。
「未成仏霊との共同生活では、まともな暮らしは出来ない筈ですし、離婚を考えるしかないでしょう」と告げたのである。
「ですから、もう家を出る覚悟をして、部屋もすでに借りています。来月には私だけ引っ越すつもりです。その時点で離婚します」
亡き母親の我が息子への盲愛が霊現象となって、二人の仲を裂いたのだが、浮かぶ瀬もないむごい話である。妻の立場の、この女性が浄霊をする筋合いでもないのでここで相談を終えたのである。とても怖い占例である。